長く住まれたクライアントのご実家の建替えの計画です。
複雑に入り組んだ道路と水路で特殊な三角に近い敷地形状で、重厚な煉瓦塀と大量の樹木が残されていました。
内部は「狭さ」と「広さ」のメリハリを持つ急勾配屋を表にした断面形状と、道路と水路の角度に素直な台形平面形状で、敷地の特殊性を有効利用する方法を選択した計画です。
建物解体時に煉瓦塀と樹木を部分的に残し、思い出深い歴史を継承させ、それらの姿が持つ美観風景を享受しながら塀・境界としての用途も最大限に活用しました。
内部は土間-階段図書室-居間(LDK)への続く日々の動線には空間の大小と光の明暗をシーン毎に変化を感じられる仕掛けを作っています。土間では刻々と変わる太陽の高さや明るさを感じられ、洞窟のような階段図書室で暗さを感じながら土間から漏れる日の明るさがより実感でき、居間では縦方向に延びる空間で開放されます。石器時代の人間は洞窟に住んでいたらしいですが、落ちける場所とは本能的に閉ざされている必要もあり、開放的な場所と相互に刺激され心地よさを日々自然に感じられる体験動線としました。
- 施工:ヒロタ建設株式会社
- 造園:stolo
- 用途:専用住宅
- 所在地:奈良県奈良市学園朝日元町
- 構造:木造
- 規模:地上2階
- 延床面積:116.46㎡
- 竣工:2023年12月