現場界隈 名所探訪

地域にはそれぞれ独自の土着文化が存在します。古くからある町や集落にはことさら顕著に個性があり、そんな個性の代表格となる風景が地域の名所として存在します。お仕事で訪れた建築の現場、せっかくなので近くの名所を探す時間を作って探訪する企画。

第一回目は史跡椿井大塚山古墳です。史跡に指定されています。

3世紀、邪馬台国時代の前方後円墳です。昭和28年の鉄道改良工事の際、偶然竪穴式石室が発見された秘話があり、それ以前は存在さえ認知が無かったのが興味深く、文化財保護の意識が確立された良い時代まで上手く隠れてくれていた!文化財保護法が昭和25年施行なので、ギリギリです。

集落内には案内看板が掲示され、迷わずに古墳頂上まで進むことが出来る丁寧な整備。石垣と石碑のあるエリアがあり、古墳のコーナーを示しています。小さな集落生活道を横切りるアプローチは、目的が無いと入り込まない、一種の結界内なのでとても貴重です。

途中、秘話の鉄道改良工事に作られた(と思われる)レンガ橋が現れます。鉄道下をくぐる実用的な橋ですが、重厚で歴史が刻まれたレンガアーチと周辺の町並みや緑を切り取った風景が不思議で贅沢なノスタルジックを感じさせます。

頂上手前には木製のステップが設けられ、舗装の無い山肌をしっかり手入れされています。頂上は木津川まで見える絶景が広がり、古代より川と山々、空は同じ風景なのでしょう、この地を古墳に決められた卑弥呼さまの気持ちに少し近づけた気がしました。卑弥呼や邪馬台国は九州説もあるのは有名な議論ですが、仮説合戦に決着付けられる大物発掘を令和の鉄道工事で見つかることに期待しながら古墳を後にしました。

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